オートバックスセブンアニュアルレポート2012

アニュアルレポート2012 > 中期経営計画の進捗・社長メッセージ

中期経営計画の進捗・社長メッセージ

お客様視点での店舗を展開し、「クルマのことならオートバックス」の実現を目指します

「オートバックス 2010 中期経営計画」がスタートし前半の2年が経ちました。
中期経営計画の課題の一つ である既存店舗の収益力強化のため、お客様視点での「分かりやすく、選びやすい」をコンセプトに既存店舗の売場改革をオートバックス業態店舗で実施しました。その結果、お客様から高い評価をいただいており、売上高、粗利益高、買上客数においても成果が出ています。

後半の2年間は、個々の店舗がそれぞれのお客様のニーズに合った「個店力の強化」を進め「店舗の収益性向上」を目指すとともに、小型店舗を含めた新規出店を加速させ「シェア拡大」を図り、中期経営計画の達成に向けて取り組んでいきます。
さらにお客様から支持・信頼される店舗を展開し、オートバックスブランド価値の向上を図り、「クルマのことならオートバックス」の実現を目指していきます。

代表取締役 社長執行役員
湧田 節夫

目まぐるしく変化した経営環境の中、中期経営計画の推進により増益を達成しました

2012年3月期の経営環境は、東日本大震災後の新車の生産及び販売台数の減少による需要の減少や、タイの洪水被害によりカーナビゲーションの品揃えに影響が出るなど厳しい経営環境に見舞われました。

一方、地デジ移行に伴う地上波デジタルチューナーの需要増、震災後の復興に伴う東北地方を中心としたメンテナンス関連用品や中古車の需要増、さらにはタイヤ価格の値上げや寒波に伴うスタッドレスタイヤの需要増など、売上を押し上げる要因もありました。

このような目まぐるしい変化に対して、私たちは2年目である中期経営計画を経営の軸にしつつ、臨機応変に対応をいたしました。フランチャイズ加盟法人の店舗を含めた国内の全業態において、「カー用品販売」については、カーナビゲーションの売上減少などがあったものの、タイヤ・ホイール、地上波デジタルチューナーの売上増によって売上は前期比0.2%増の前年並みとなりました。

一方で「車検・整備」は、電話による販促活動や店舗における継続的な取り組みにより車検実施台数は前期比7.3%増の約53万5千台となりました。また、「車販売・買取」については、被災地において中古車の需要が高まり、中古車市場が活性化したことにより、販売台数が前期比10.1%増の約1万8千台となりました。

このような取り組みの結果、当社グループの連結売上高は、前期比0.4%増の2,373億円となりました。連結営業利益は中期経営計画の施策である仕入改革の成果による売上総利益率の向上と販売費及び一般管理費の削減効果などにより前期比14.5%増の137億円、連結当期純利益は前期比36.0%増の84億円と増益を達成しました。

小売売上及び卸売売上の前年同月比の推移(2012年3月期)

小売売上及び卸売売上の前年同月比の推移(2012年3月期)グラフ

オートバックス2010中期経営計画」の目標(2014年3月期)

店舗収益向上策を着実に実行し、全店舗での改装、全スタッフの研修が完了しました

中期経営計画の前半の2年間で力点を置いていた店舗収益向上策は計画どおり順調に進捗し、全店舗での改装と全スタッフの研修が完了しました。お客様視点での「分かりやすく、選びやすい」店舗に一歩近づけたと認識しています。

「売場改革」については、改装実施店舗での売上、客数、粗利額などが未改装店舗を上回っており、改装の狙いであったメンテナンス関連の商品・サービスの売上が伸長するなど一定の効果が現れています。一方で改装後の効果がまだ低い店舗もあり、今後はノウハ ウの共有化などをとおしてさらなる改善を進めていくことが課題であると考えています。「粗利改革」については、取扱商品のアイテムの絞り込みや仕入先との戦略的な取り組みなどにより粗利率が改善しています。

「人材とオペレーション改革」については、挨拶や笑顔の作り方といった接遇に関して全スタッフの研修が完了しました。外部機関による調査でも店舗の接遇状況が改善しており、研修の成果が確認されました。今後も接遇改革の浸透に向けた取り組みを継続すると ともに、接客技術力の向上を図っていきます。また、店舗におけるオペレーションについても検証と改善を実施していきます。

2013年3月期は、当社の子会社が経営する店舗においてコスト構造やオペレーション効率などを分析し、改善の施策を打っていくことにより、収益性の改善を目指してまいります。

売場改装実施店と未実施店の比較

オートバックス2010中期経営計画」の目標(2014年3月期)

120店舗の新規出店計画の達成を目指して、スピード感を持って積極的に進めていきます

「新規出店」については、中期経営計画の期間4年間で120店舗の出店を計画しています。2012年3月末までの2年間で新規に27店舗出店しました。また2012年3月には1ヵ月間で7店舗を出店しており、このくらいのスピード感を持って積極的に取り組んでいきたいと考えています。

新規出店は、従来の店舗よりも小型の商圏における出店が多いですが、利益を創出するために、建物、店内什器、ピット機材などのあらゆる面においてコスト削減を目指しています。

中国の実験店舗の結果検証を進めるとともに、アセアン地域を中心に展開していきます

「海外事業」については、2012年3月末現在、フランス、中国、タイ、シンガポール、台湾の5ヵ国27店舗で展開しています。特に中国においては、将来的にカー用品市場の拡大が見込まれる上海において実験店舗を出店し、その結果検証を進めています。今後は実験期間を延長し、さらに2~3店舗出店して様々なスタイルの店舗で中国のお客様のニーズを探ってまいります。

また、シンガポールでは2011年12月に3号店となる小型店舗を出店しましたが、アセアン地域においても支店を設立し、市場の調査を行っています。今後も地域ニーズにあった店舗を展開し、海外でも「クルマのことならオートバックス」を実現し、長期的な成長を目指していきます。

「オートバックス 2010 中期経営計画」の進捗

接遇研修

「個店力の強化」により、オートバックスブランド価値の向上を目指していきます

カー用品市場は、中長期的には縮小傾向にありますが、国内の自動車の登録台数は変わらず、自動車の使用年数は長くなっているため、メンテナンスに関わる市場は安定した需要を見込んでいます(PDF5ページの市場データご参照)。

また、環境への意識の高まりから軽・小型自動車に対する注目度が高まっていますが、そういう自動車は一般的に装備品が少ない傾向にあり、カー用品の需要拡大が見込まれます。

私たちは中期経営計画の前半の2年間において、これまでの強みである高い市場シェア、圧倒的な店舗ネットワーク、安定的な財務体質に加え、売場改革、人材とオペレーション改革により、どのような経営環境の中でも成長していくことができる基盤を固めることができました。後半の2年間では、オートバックスの強みを進化させ、各店舗のクオリティの向上を図る「個店力の強化」と積極的な新規出店による「シェア拡大」を中心に進めてまいります。

「個店力の強化」とは、1店舗1店舗が地域の一番店を目指すことです。北海道から沖縄まで、それぞれの地域で自動車に関するライフスタイルは違います。それぞれの地域に適した商品・サービスを提供していくことが店舗の支持・信頼につながり、「クルマのことならオートバックス」の実現に近づくものと考えています。これまで進めてきた「売場改革」「人材とオペレーション改革」を店舗ごとに進化させ、その地域のお客様に支持・信頼される店舗作りを進めてまいります。

「シェア拡大」については、積極的な新規出店を実行していきます。2013年3月期は30店舗の出店を計画しています。この2年間で培った小型店舗のノウハウを生かして新規出店の目標を達成し、シェア拡大につなげてまいります。

このような取り組みにより、2013年3月期の連結売上高は前期比2.2%増の2,425億円を予想しています。

中期経営計画の進捗・執行役員のコメント »

1株当たり配当金、自社株購入額

株主還元を強化しています

中期経営計画の成長戦略を進めていく上で積極的な投資を行っていきますが、その一方、ROE7%を中計の目標としており、株主還元の強化とともに資本効率の向上も目指していきます。配当についてはDOE3%をめどにしていますが、2012年3月期の1株当たり配当金は、前期と比べて10円増配の145円とし、DOEは3.3%でした。

また、2012年3月期は160万株、5,458百万円の自己株式の所得を実施し、それまでに保有していた金庫株についても消却いたしました。現状のキャッシュ・フローと中期的な成長を見据えた投資を考慮しつつ、株主還元については、今後も強化してまいります。

持続的な成長のため、CSRの推進とコーポレート・ガバナンスを
強化しています

当社グループでは、CSRを重要な経営課題として積極的に取り組んでいます。特に、環境対応はますます進めていかなければいけないと考えており、事業を通じた環境負荷低減活動を行っています。また、東京都江東区の本社において環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001認証を取得しました。

今後も物流センターや地方拠点などにおいても環境マネジメントシステムを拡大し、より一層環境に配慮した活動を行っていきます。

また、当社では継続的なコーポレート・ガバナンスの強化・改善に努めています。当社は監査役設置会社の形態を採用していますが、取締役総数8名のうち社外取締役が3名を占めています。また、社外取締役全員と代表取締役により構成されるガバナンス委員会を設置しており、監査役設置会社をベースとしつつ、委員会設置会社の機能をあわせ持つ、ハイブリッド型のコーポレート・ガバナンス体制となっています。

さらに社外役員6名(社外取締役3名、社外監査役3名)全員を独立役員とすることにより、社外取締役及び社外監査役の独立性の向上を図るとともに、一般株主の利益保護に努めています。(コーポレート・ガバナンスの詳細については、PDF18~21ページをご参照ください。)

環境配慮型店舗(太陽光パネル設置)/ISO14001登録証

「クルマのことならオートバックス」の実現を目指します

これまで私たちは、売場作りや接客など様々な場面において「お客様視点」を大切にして取り組んできました。現在、店舗においては従来のカー用品だけでなく、車検や軽板金についても全店舗で受け付けができるような体制が整いました。

また、自動車の買取・販売についても取り扱い店舗が増えているところで、店舗において、お客様の自動車に対するメニューが増えてきています。

2013年3月期は、「個店力の強化」をテーマに掲げ、1店舗1店舗が地域のお客様のニーズを見据えた品揃えやサービスを提供することにより、支持・信頼される店舗の構築を目指してまいります。

このような取り組みと中期経営計画の施策を通じてオートバックスブランド価値の向上を図り、「クルマのことならオートバックス」を実現するとともに、当社グループとしての企業価値の向上に努めてまいる所存です。

ステークホルダーの皆様におかれましては、今後とも当社グループに対するご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2012年7月
代表取締役 社長執行役員
湧田 節夫

中期経営計画の進捗・執行役員のコメント »