特集:成長戦略

お客様視点から提供価値を再構築し、「クルマのことならオートバックス」の実現を目指す

  • オートバックスセブンの成長の軌跡
  • 「オートバックス 2010 中期経営計画」の概要
  • 店舗収益向上策の進捗
  • 市場シェア向上策の進捗
  • 海外事業の進捗

 2010年3月期まで不採算事業の整理・コスト効率化・ガバナンス体制の強化に注力してきましたが、国内FC事業の市場環境は厳しい状況にありました。そこで2011年3月期より「オートバックス 2010 中期経営計画」を開始しました。

 前半2年間は拡大準備期として、厳しい環境下でも顧客が満足する価格を提供するための店舗・本部のコスト競争力強化や、仕入れ改革による原価低減、より選びやすく・買いやすく・楽しめる売場への改革・オペレーションの強化に注力してきました。

 後半2年間はこれまでの成果に基づく既存事業拡大期として、顧客が店舗をより身近に感じてもらうための拠点数の拡大などによって「エリア内のシェア拡大」を実現し、収益の拡大と企業価値向上を目指していきます。

「店舗収益向上策」と「市場シェア向上策」を柱に、「クルマのことならオートバックス」の実現を目指しています。

「オートバックス 2010 中期経営計画」の基本方針

  • 経営目標
    連結営業利益 160億円
    ROE(連結株主資本当期純利益率) 7.0%
    DOE(連結株主資本配当率) 3.0%
  • 事業戦略
    軸足を「国内FC事業」に置き、抜本的に強化することで市場シェアと店舗収益率の向上を実現する
  • 財務戦略
    積極的な事業投資と株主還元強化により、株主価値のさらなる向上に努める

>>> オートバックスセブン成長の軌跡

 お客様視点での「選びやすく、買いやすく、楽しい売場」をコンセプトに、売場改革を実行しています。また、人材とオペレーション改革により気持ちよくお客様にお買い物していただく接遇力を強化しています。

店舗収益向上策 2013年3月期の進捗状況
①売場改革 中央ゴンドラ売上、総合メンテナンスコーナーの売上が改装により徐々に改善。
スーパーオートバックス19店舗改装。
②粗利改革(仕入改革) 仕入先との交渉、値引の管理強化などにより、多くの商品群で粗利率が改善。
③人材とオペレーション改革 店長研修が終了。店舗従業員の多能化に向けた準備を推進。

①売場改革

 「オートバックス 2010 中期経営計画」の前半2年間、オートバックス全店の売場改装により、お客様にとって選びやすく買いやすい店舗にすることに注力してきました。この取り組みにより、アクセサリー類やメンテナンス関連商品の売上の向上といった成果が表れ始めています。

 これらの改革をスーパーオートバックスにも広げており、2013年3月期は19店舗で売場改装を実施しました。スーパーオートバックスならではの嗜好性の高い品揃えや売場づくりで、楽しみやわくわく感を実現し、お客様に一層ご支持いただける店舗へと変革していきます。

②粗利改革(仕入改革)

 粗利改革は、お客様に価値ある商品を求めやすい価格で提供していきたいという考え方が基本になっています。

 「オートバックス 2010 中期経営計画」の開始以降、各商品ごとにアイテム数の絞り込みや大量仕入れ、当社内の値引の管理の徹底により、多くの商品群で粗利率が改善しました。

 今後も、引き続き戦略的タイアップの実施を推進し、お客様に求めやすい価格で提供できる、取引先にもメリットがあるなどWin‐Winの関係を構築するために改革を実行していきます。

オートバックスセブン単体の売上総利益および売上総利益率

③人材とオペレーション改革

 2012年3月期までに挨拶や笑顔といった接遇に関して全スタッフの研修が完了しました。外部機関による調査でも店舗の接遇状況が改善しており、研修の成果が確認されました。現在も継続的に実施しており、2013年3月期は新店の従業員を中心に約1,000名の研修を実施しました。

 加えて、全店舗の店長に対する「戦略力強化研修」を開催し、地域に適した効果的なお客様の増やし方などの個店戦略や、PDCAサイクル構築により仕事の実行力を高め、主体的に考え行動し、成果を上げて組織を作る力を養いました。さらに、研修の対象を副店長まで広げ、店舗幹部のマネジメント力強化を図りました。

 業績が好調な店舗では、人員体制づくりや部門の壁を越えた相互連携ルールの確立、接客機会を損失しないための仕組みづくりを強化しており、このような仕組みや考え方を標準化し、他の店舗へ横展開することにより、今後も、お客様の利便性向上とともに、業績改善に向けた対策に継続して取り組んでいきます。

>>> お客様をサポートするFC従業員

  • 接遇研修の風景
  • 戦略力強化研修の風景

 積極的な新規出店と、新しいサービス業態・マルチチャネルを開発することにより、市場シェアの向上に取り組んでいます。

市場シェア向上策 2013年3月期の進捗状況
①新規出店 30店舗出店(オートバックスエクスプレス3店舗を含む)。
年商2億円以下、投資額と運営コストを削減した店舗の出店を開始。
②サービス業態 板金集中センター(浦安、戸田、福岡)を開設。
③マルチチャネル展開 オイル交換Web予約サービス、タブレット端末利用の推進、ネット販売の強化、楽天市場への出店。

①新規出店

 お客様の利便性向上と、今まで以上に多くのお客様にご来店いただくことを目的に、新規出店を進めています。カー用品店がない空白商圏やこれまであまり出店してこなかった地方の小商圏への出店を推進しています。

 さらに通常のオートバックス店舗より小型の売場で、タイヤやホイールを中心に、オイル、バッテリーなどといった定期的な交換が必要なメンテナンス商品群の品揃えに特化した「オートバックスタイヤ専門館」をオープンしました。

 また、店内什器やピット機材などについては、個別に見直しを行い、さらなるローコスト化を推進しました。地域ごとに存在するニーズをしっかりとつかんだ商品・サービスの提供を通じて「クルマのことならオートバックス」の実現を目指します。

>>> さらにお客様の身近な存在に

国内店舗数

②サービス業態

 2012年3月期以降、新しいサービス業態の展開として、板金集中センターを3拠点(千葉県浦安市、埼玉県戸田市、福岡県福岡市)開設しました。さらにお客様からの車検に関するお問い合わせやご相談の窓口、車検の予約窓口としてお客様の入庫までのフォローを行う「車検コンタクトセンター」を設置しています。

 お客様の利便性を高めるため、サービス業態店舗の物件開発を進め、実験店舗の検証を反映しながら、新しいフォーマットの確立を目指します。

>>> 豊富な品揃え、サービス

③マルチチャネル展開

 今後、車関連の商品やサービスにおいても、インターネットを通じた販売が拡大するものと予想しています。オートバックスグループにとっても将来の成長を支える柱の一つとして位置づけ、自社通販サイトの充実と機能強化を図ってきました。

 従来取り組んでいるインターネットショッピングサイト"AUTOBACS.COM"に加え、2012年8月に楽天株式会社が運営するインターネットショッピングモール"楽天市場"へ「オートバックス楽天市場店」をオープンしました。さらに、2013年6月に総合オンラインストア"amazon.co.jp"に、オートバックスのオフィシャルネットショップ「オートバックスストア」をオープンしました。サイト内では、インターネットサイトならではのお買い得な商品はもちろんのこと、車のメンテナンスに欠かせない情報を記載することにより、車に詳しくない方の利便性を高めるなど、お客様に最適な商品をご提案できるよう努めています。

 また、今までオートバックス店舗を利用したことのないお客様がインターネットサイトで注文し、商品の取付のために実際の店舗をご利用いただくというケースも増えており、新たなお客様の獲得という観点でもインターネット販売を強化してまいります。

>>> さらにお客様の身近な存在に

 海外事業は、フランス、中国、シンガポール、タイ、台湾、マレーシアにおいてオートバックスブランドで店舗展開をしています(台湾とマレーシアは、フランチャイズ加盟法人による経営)。当社は、「オートバックス 2010 中期経営計画」期間中に海外事業の黒字化を目指しており、2012年3月期において黒字となりましたが、2013年3月期は中国における出店コストの増加などにより若干の赤字となっています。

 引き続き海外事業の黒字化を目指すとともに、ASEAN地域におけるビジネスの拡大を検討しています。

当社の子会社が運営する地域(一部フランチャイズ店舗を含む)

海外事業 2013年3月期の進捗状況
①フランス 欧州経済が低迷するなか個人消費が落ち込んだことに加え、日曜営業できない店舗が増加したことや冬季商品の売上不振などにより減収。
②中国 直営3号店を出店した一方、直営1号店およびフランチャイズ加盟法人2店舗の退店により減収。出退店費用計上により損失発生。
③シンガポール タイヤやオイルなどのメンテナンス商品の販売に取り組んだことに加え、2012年3月期に出店した店舗の売上が加わったことにより増収増益。
④タイタイヤを中心とした積極的な販促活動を行ったことにより、売上高は増加したものの、店舗家賃などのコスト増により営業損失が発生。

①フランス

フランス
 2001年に1号店をオープンし、店舗買収などを経て、現在は11店舗を出店しています (内、フランチャイズ加盟法人が2店舗運営)。2013年3月期は、欧州経済は低迷し、個人消費が落ち込みましたが、タイヤを中心に必需品や消耗品の販売強化に注力することにより、地域のお客様からの支持が向上しています。販売費及び一般管理費の削減に取り組み、継続的な利益の創出を目指しています。

②中国

中国
 2004年に出店して以来、将来的にカー用品市場の拡大が見込まれる中国では、これまで店舗モデル構築に向けた実験と検証を進めてきました。現在は、現地子会社直営の2店舗にてカー用品の販売に加え、洗車場を設置するなど、現地のお客様のニーズを探求しています。

③シンガポール

シンガポール
 1995年に1号店をオープンし、現在3店舗で展開しています。豊富な品揃えと良質なサービスで現地のお客様から支持を得ており、タイヤ、オイル、バッテリーなどの消耗品を中心に、売上が拡大し、継続的に営業利益が創出されています。

④タイ

タイ
 2000年に1号店をオープンし、現在4店舗で展開しています。2011年の大洪水で影響を受けましたが、経費削減や販促活動に努め、現在は全店舗において売上高が好調に推移しています。

フランチャイズ加盟法人が運営する地域

①台湾

台湾
 1991年に1号店をオープンし、現在は6店舗を出店しています。2012年10月にオープンした「安托華中和店」は、消耗品から、洗車用品、車内用品、嗜好品まで約4,500アイテムを 揃えています。今後もさらなる収益拡大に取り組んでいきます。

②マレーシア

マレーシア
 2012年4月、マレーシア国内初店舗となる「クランセントラル店」をオープンしました。
豊富な品揃えとともに、オイルやタイヤの交換、車の点検など日本と同様のサービスを提供しています。
ページトップに戻る