取締役 専務執行役員 コーポレート統括 平田 功

コーポレート統括執行役員の役割

管理系部門を統括し、
経営基盤の強化とコスト構造改革を推進

 2017年の組織変更に伴い、コーポレート統括執行役員に就任しました平田です。今回の組織変更でコーポレート執行統括を新設された背景には、2つの課題がありました。

 ひとつは、これまで当社には総務や経理など管理系の部門全体を取りまとめる管掌がなく、これらの業務を改革する際に、各部門単位で取り組むのか、社長が直接指揮を執るのか、責任の所在が見え難くなっていたという点です。そこで、管理系部門を「人事・総務・IT戦略」と「経理・財務・法務」に分類し、それぞれの担当執行役員を置くとともに、私が全体の統括責任者としての職責を負うこととなりました。この体制により「ヒト・モノ・カネ・情報」などの経営資源を横断的に捉え、グループ全体で最適化することで、経営基盤を強化していけると考えています。

 もうひとつは、当社グループにとって積年のテーマである収益構造改革、コスト構造改革をどう進めていくかです。近年の業績を見ると、売上が下がっても販管費は横ばいのままで、結果として営業利益が低下しています(グラフ1参照)。販管費をはじめとしたコスト構造の見直しを進めるには、各現場で「固定費」と見られていたものを、改めて見直し、削減していく必要があります。加えて、社内に対して、お客様に満足いただきつつ、効率性を重視するという“意識改革”を求めていくことも重要です。こうした取り組みを牽引するため、管理系部門の統括責任者として、また、財務の最高責任者として、責任感と覚悟をもって取り組んでいきます。

グラフ1:過去5年間の業績推移

コスト構造改革

「売上総利益の増加」と「販管費率の低下」で
連結営業利益120億円へ

 「2017中期経営計画」では、最終年度となる2020年3月期の経営目標として「連結営業利益120億円」を掲げています。

 コスト構造改革を進める上で、単純なコストカットで「稼ぐ力」を削いでは意味がありません。伸ばすべきは伸ばし、削るべきはしっかり削る、このメリハリが重要です。成長戦略の推進による売上増と原価率の低減により「売上総利益の増加」を図り、IT、販促関連経費の効率的な使用、人材のシフトを通じて「販管費率の低下」を進め、グループ全体の営業利益の拡大と“筋肉質な企業体質”を実現していく考えです。

 目標達成に向けて、事業部門ごとに具体的な数値目標を定めており(グラフ2参照)、私たち管理系部門では、この目標達成に向けて、各事業部門の構造改革を積極的に後押ししていきます。事業ごとのコスト構造を“見える化”し、改善策を検討するための指針となる各種データの取りまとめはもちろん、ITの有効活用や人材の最適配置を促す人事制度の設計など、さまざまな側面からサポートしていきます。

 その一方で、管理系部門においても10億円の経費削減を計画しています。業務の効率化やITコストの削減、購買改革などにより、早期に計画目標をクリアしていく考えです。

グラフ2:営業利益拡大の事業別内訳

資産・資本効率の向上

「連結ROE7%」を目標に
資産効率を重視したマネジメントを実践

 当社は中長期的な企業価値の向上に向け、資本効率の評価指標としてROEを重視しています。「2017中期経営計画」においては「連結ROE7%」を目標としていますが、これを通過点に将来的に二桁の水準を目指していきます。

 ROEを高めていく上で、成長戦略の推進とコスト構造改革による利益成長が第一となりますが、資産を有効に活用しているかをチェックする視点も不可欠です。こうした考えから、各事業部門の業績管理は、「事業の収益性」と「資産活用の効率性」を評価する実践的な指標として、「ROA」を重要指標とし、具体的なKPIを定めたガイドラインに基づき評価を行います。目標となるROA水準は事業部門ごとに異なりますが、在庫の圧縮や資産の適正化、投資や資産に見合った収益が見込めない事業についてはそのあり方を検討するなど、資産効率を重視した管理を実践していく考えです。グループ全体の資産についても有効利用できないものは適切に処分し、資産のスリム化を図ります。

 資本構成については、機動的な財務戦略を実施しうる健全な財務基盤を維持するために、現在の水準(自己資本比率70%以上)を確保していく方針です。

キャッシュ・フローと
株主還元の考え方

積極的な成長投資を実施しつつ安定した高水準の配当を継続

 当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題のひとつと位置づけています。従来は「連結DOE3%以上」を配当方針とし、当期もこれに基づき1株当たり配当を年間60円(DOE:3.9%)としました。

 来期からスタートする「2017中期経営計画」においても、株主還元の基本方針について「収益を高めることで、安定的で継続的な高水準の利益還元を実現する」と定めており、安定配当を続けていく考えに変わりはありません。しかし「DOE3%以上」という方針は、2008年以降の中期経営計画において、改革を進める中で利益の変動はあっても安定的に配当を行うために設定したもので、手元資金を効率化することも目的のひとつでした。現在は、手元資金の水準も下がっていますので、利益増加の戦略と合わせて配当方針を見直すこととしました。

 また、中期経営計画に掲げる施策を着実に実施していくためには、店舗改革や新規事業の育成、海外事業の加速などを目的とした投資が不可欠であり、計画中の3年間で約210億円の投資を計画しています。加えて、最適なタイミングでM&Aを実施するためには、ある程度の手元資金も必要です。そこで、営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローの差額である「フリー・キャッシュ・フロー」に加え、資金の効率的な運用により300億円から250億円まで圧縮した余剰部分を、株主還元に充てる考えです。(グラフ3参照)

 こうした考えのもと、新計画では、株主の皆様への利益還元の指標をDOEから連結配当性向に変更し、原則50~100%の間で業績に応じて配当額を決定するものとしました。自己株式取得についても、キャッシュ・フローと手元流動性の状況を踏まえながら、必要に応じて実施していく考えです。

グラフ3:キャッシュ・フローと株主還元の考え方

グラフ4:株主還元

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